狂言師とはどんな仕事? 人間国宝は誰が決める? 狂言師についてわかりやすく解説

狂言師は、日本の伝統芸能である狂言を演じる専門の職業です。狂言は能と並ぶ古典演劇で、能が厳かな舞台であるのに対し、狂言は主に滑稽さやユーモアを含んだコメディ要素が強い演劇です。

今回はそんな狂言師についてわかりやすく解説していきます。またこの業界には人間国宝と呼ばれる有名人が多数います。人間酷評についても解説していきます。

狂言師の役割

演技と表現

狂言師は、セリフ、動作、表情を用いて日常生活や人間の滑稽さ、愚かさを描きます。登場人物は庶民的で、時に愚かでコミカルな役が多く、観客に笑いを提供します。

型の継承

狂言は型が重要で、古くからの動きやセリフ回しを代々受け継ぐことが求められます。狂言師はその技術を、徒弟制度や家族内で厳しく伝承します。

能との関係

狂言は能と対になる形式で、能の合間に狂言を演じる「アイ狂言」と呼ばれるものもあります。能の荘厳さを中和し、観客にリラックスさせる役割を果たします。

狂言師になるためには

代表的な狂言師

有名な狂言師としては、野村萬斎や野村万之丞、和泉元彌などが挙げられます。彼らは伝統を守りつつ、現代の舞台や映画などにも出演し、狂言の魅力を広めています。

狂言師の職業は、古典を守りながらも、時代に応じたアプローチで新たな観客に狂言を紹介する重要な役割を果たしています。

狂言師の日本国宝

狂言師界の人間国宝

初世 野村万作 (1905年 – 1994年)

野村万作は、狂言大蔵流の名家出身で、狂言の発展に大きく寄与しました。

二世 野村万作 (1931年生)

野村万作は、初世野村万作の次男で、現代の狂言を牽引する存在です。海外公演や現代劇の演出でも活躍しています。

六世 野村万之丞 (1940年 – 2022年)

狂言和泉流の重要人物として、多くの舞台で活躍しました。2022年に逝去されていますが、長年にわたり狂言の発展に尽力しました。

茂山千作 (1922年 – 2015年)

狂言大蔵流の茂山家に生まれ、狂言の大衆化に貢献。多くの舞台やテレビでも活躍しました。

茂山千五郎 (1923年生)

茂山千作の後を継ぎ、京都を拠点に活躍。伝統芸能を守りつつ、現代的なアプローチも試みました。

三宅藤九郎 (1945年生)

狂言和泉流の代表的な人物で、数々の舞台に出演し、指導も行っています。

狂言師の人間国宝制度

人間国宝の決定プロセス

文化庁による選定
文化庁は、日本の伝統芸能や工芸技術の保護を目的とし、その中で特に優れた技術を持つ個人を「重要無形文化財保持者」として認定します。この認定は、国の文化財保護法に基づいて行われます。

文化審議会の審議
文化庁の内部に設置されている「文化審議会」が中心的な役割を果たします。文化審議会は、伝統芸能や技術に精通した専門家から構成されており、推薦された候補者を審議し、最終的に文化庁長官が認定を行います。

推薦と審査
候補者は、各地域の文化団体や専門家から推薦されることが多いです。推薦された人物は、その技術や功績が国として保護すべき「無形文化財」に該当するかどうか、専門家によって評価されます。

認定の基準

認定の主な基準は、その人物が伝統的な技術や芸能を保持し、これを次世代に伝える能力を持っているかという点です。また、その技術が「国宝」として保護するに値する高度なものであることも重要です。

人間国宝に選ばれることは非常に名誉なことであり、伝統芸能や技術の維持・発展に大きく貢献する人物が対象となります。

まとめ

狂言師は、日本の伝統芸能を継承するだけでなく、現代にその魅力を伝える重要な存在です。彼らは代々受け継がれてきた技術と知識を守りつつ、新しい挑戦も続けています。狂言師としての道は厳しく、長い修行と努力が必要ですが、その結果として、芸術的な表現の最高峰に立つことができます。人間国宝として認定される狂言師たちは、伝統の守り手としての役割を果たしながら、未来の世代へとその文化を繋いでいく責務を担っています。狂言という伝統芸能は、これからも多くの人々に感動と笑いを届け続けるでしょう。